STORY

それは、北海道沖太平洋での異様な爆発から始まった。

2020年の北海道沖太平洋で異様なキノコ雲が目撃される。政府発表は「隕石の墜落」。その後、その海域で採れたツブ貝を食べた人たちの入水自殺事件が続発。自殺者の増加に比例してツブ貝を買い求める人たちも増え続けていった。オリンピックを前に不穏な事件に蓋をしたい政府は情報を隠蔽し、海洋生物、特に貝類の権威として名高い帝南大学の洲谷麗美に極秘に実態を調査させていた。

麗美は、ツブ貝を食べた人たちが「かつて愛した人たちの幻覚」に海へと誘導されていたことを突き止める。それは幻覚というにはあまりに生々しく、脳が幻覚と実体を区別できないほどだった。麗美はそれらをチベットの言葉で実体化した思念を意味する「トゥルパ」と呼称し、トゥルパシンドロームの研究に乗り出していた。その調査の過程で麗美は、トゥルパに異常にのめり込む元写真家の来栖慶一郎という男に出会う。彼はトゥルパに意思を支配されることなく、自らの意思で亡き妻、晴海の姿をしたトゥルパとコミュニケーションをとっていた。

調べていくと来栖と亡き妻との思い出の曲、フルトヴェングラー指揮のベートーベン交響曲第9番が深く関わっていたことが判明。さらに、終戦直前のベルリンで行われていた極秘実験が関係していたらしいことがわかってくる。

麗美に一服盛って彼女が管理する約100匹ものツブ貝を奪った来栖。麗美は奪われた貝を探して入り込んだライブハウスで、来栖の亡くなった妻、晴海の姿を見る。なぜ幻覚発症者ではない麗美にまで他人のトゥルパが見えるのか?麗美は、来栖と晴海の愛の深さゆえにたどり着いてしまったトゥルパの驚愕の最終段階を知ることになる。

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