監督インタビュー

この映画は
「巻貝の毒」というのが一つのポイントになっていますが、
それはどこから着想を得たのですか?
齋藤新
妻が
巻貝のアブラ(唾液腺)を食べたらなんか変な感じになるらしいよ
って言ったんですね。
そこから、それを食べたら幻覚が現れるってどうかなって思ったのが最初です。
愛するパートナー、それは恋人でも友達でもいいし、
妻でも両親でも子供でもいい、なんなら犬とか猫でもいい。
そういう、自分にかけがえがないけど今はもういない人が目の前に現れる。
そして操られ殺される、そんな話を最初の頃は考えていました。
いろいろな映画へのオマージュが出てきます。
寿司屋のシーンとか。
齋藤新
今回は色々とSF映画へのオマージュを入れました。
一番強いのはタルコフスキーの『惑星ソラリス』です。
あれもやはり亡くなった妻の姿をしたものが出てくるって話で。
まぁこの巻貝の歓喜自体が惑星ソラリスへのオマージュです。
でも「惑星ソラリス」と同じテイストにはしなかったですよね。
巻貝は妻とのラブストーリーになっている。
齋藤新
そもそもソラリスをラブストーリーってみてしまうのは
あの映画や原作に対する冒涜になってしまう。
そんな単純な話ではないと思うんです。
人間性に対しての挑戦というか問いかけというか問題提起があって、
タルコフスキーはそこにノスタルジーというのを絡めてきている。
結局僕の映画はどちらかというとラブストーリーになっちゃったから、
ソラリスの原作者やタルコフスキーが見たら怒るかもしれないですね。
でも僕なりにソラリスにインスパイアされながらも
そこに着想を得てちょっと壮大なラブストーリーを作ってみた感じです。
他にオマージュとしては
『ブレードランナー』(注:リドリー・スコット監督)もありますし、
『スタートレック』(注:1966年開始のアメリカSFドラマシリーズ)も入っているし、
『マタンゴ』(注:本多猪四郎監督)も入っている。
小説ではカート・ヴォネガット・Jrの『タイタンの妖女』『スローターハウス5』
フィリップ・K・ディックなんかも思想面で入っていたりします。
「時間」というものもこの映画のキーポイントかと思いますが…
齋藤新
時間の流れに人間はどうしても縛られます。
ですが、晴海が現れる時って必ず時間の逆流現象が起こるんです。
もはやそれって時間の流れというものが意味をなしていない。
時間の流れそのものに意味がなかったら、過去も未来も一緒だと。
この映画のラストシーンは、過去に戻ったというか、
初めからそこの時間でもあったし、
これからもずっとそこの時間にいるし、
何があろうともあの二人は一緒にいるんだよ、
ということを表現したかった。
人間はこの世界にいる限り時間の流れに縛られて、
老いていずれ死んでゆくんですけど、
でも愛っていうものは
時間なんか超越して常にそこにあり、
永遠にあり続けるというものだということを描きたかったんです。
音録りが終了し、完全にクランクアップした時の喜びの表現です
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