「巻貝たちの歓喜」が影響を受けた作品 Vol.8 映画「男たちの挽歌」とジョン・ウー映画

「巻貝たちの歓喜」が影響を受けた作品 Vol.8 映画「男たちの挽歌」とジョン・ウー作品

映画「男たちの挽歌」(1986 香港、ジョン・ウー)

「巻貝たちの歓喜」

冷静になって読むと変なタイトルですね。
でも実は、ある、リスペクトして止まない映画作家へのオマージュが反映されているタイトルです。
それは、ジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」オマージュですね。
「巻貝達」でなく「巻貝たち」としているのも、「男たちの挽歌」を強烈に意識しています。

もちろん「男たちの挽歌」は邦題であって原題は広東語題が「英雄本色」で、英語題が「A Better Tomorrow」です。
だからジョン・ウーさんと会って話す機会があっても、「『挽歌』が好きすぎて似た感じのタイトルにしたんです!」とか言ってもポカーーーンとされることでしょう。

ジョン・ウー監督と言えば、二丁拳銃撃ちまくって、スローモーションで鳩飛ばす人として有名かもしれませんが、私にとってはマスターオブモーションピクチャーという感じの方であり、人生において相当強く影響を与えた人になります。

最初の出会いは大学1年の時でした。
高校のころは見もしなかった芸術映画の類を貪るように見まくっていたあの頃、タルコフスキー、ベルイマン、トリュフォー、フェリーニ、キューブリックみたいな難解系映画を、ぶっちゃけ背伸びして観ていたあの頃。

ある日、自分の中で、
パーーーン
と弾けるものがあって、
もう小難しい映画嫌だ!!馬鹿みたいにひたすら戦う映画が見たーーーーい!!
・・・と思って、レンタルビデオ屋に行きました。

内容など何もなく(ここで言う内容とは、その当時は「ストーリー」のことを指していました)、ただひたすら戦うだけの映画・・・と言えば香港映画だろうと、相当偏見に満ちた思いで、香港映画コーナーに行きました。
そして、とにかく派手で何も考えなくて良さそうな映画・・・と、探して出会ったのです。

ビデオパッケージの裏に「香港映画史上最多銃弾数」とかいう、頭の悪そうなコピーが書かれた映画を!

それはジョン・ウー監督の「ハードボイルド 新・男たちの挽歌」でした。
それが、私とジョン・ウーの、そして私とチョウ・ユンファとの邂逅でした。

私はそのひたすらクールで、そのくせあり得ないくらいにめちゃくちゃ銃弾が飛び交うその映画にすっかり魅せられました。
「戦うだけの映画は内容がない」などというのはただの偏見に過ぎず、戦いまくるだけの映画の中に詩情や、情熱を刻み込むことができるんだ、ということを知ったのです。

やばい、この監督! そしてこの主演俳優! もっと観たい!!と思いました。

そして「ハードボイルド」を返しに行った日に、借りたのが「男たちの挽歌」でした。
この作品は今でも私の生涯ベスト5に入る、私のソウル・ムービーです。

映像のスタイリッシュさ、という点では他のジョン・ウー映画の方が上なのですが、「挽歌」はジョン・ウーが真剣にストーリーと向き合った唯一の映画として歴史的価値が大きいとすら思ってます。
それでも何でも、ユンファが1人で10数人のマフィア一味を皆殺しにする中盤のシーンは、歴代映画アクションシーンベスト3に余裕で入る映画史的シーンといって良いでしょう!!

この時期に観たジョン・ウー作品は

  • 「男たちの挽歌2」
  • 「ワイルドヒーローズ 暗黒街の狼たち」
  • 「狼 男たちの挽歌最終章」
  • 「狼たちの絆」
  • 「ワイルド・ブリット」
  • 「ソルジャードッグス」

などがあり、そしてこの頃ジョン・ウーはハリウッドデビューを果たし、ヴァンダムの「ハード・ターゲット」などは、その年の自分的映画ベストワンとして、映画研究会の部誌に寄稿したほどでした!

ただ、香港時代のジョン・ウー映画が好きすぎたせいで、ハリウッド時代のその後の作品は、いまいち心に刺さりません。
一般に傑作と言われる「フェイス・オフ」も私はダメでした。
「ミッションインポッシブル2」ははじけすぎてる感が大好きなのですが・・・

学生のころはジョン・ウーの影響で随分拳銃映画を撮りましたが、社会人になって映画コンペに出品するようになるとさすがに拳銃を映画の中で使うのは控えめにするようになりました。
でもジョン・ウー映画の、逆説的に聞こえるかもしれませんが、「人間愛」は、私の書く脚本の骨格となっています。
例えば「巻貝たちの歓喜」で来栖慶一郎と、州谷麗美は、敵対関係にありますが、そのくせ2人はお互いにリスペクトしあっています。
また州谷麗美は、来栖を追うためのプロファイリングのために来栖の趣味について徹底的に調べ内面から彼の行動を推測しようとします。これは「狼・男たちの挽歌最終章」でダニー・リーがユンファを追うために取った行動であり、「ハードボイルド」におけるユンファがトニー・レオンの行動を推理するのに使った手法でもありました。

るる子のライブに来て目立たぬ端の方で聴いているのは、「挽歌」でティ・ロンが、エミリー・チュウの音楽学校の発表会を訪れるシーンを少し意識しています。

そしてるる子に双子の姉がいて2人で撮った写真がある、というのは「男たちの挽歌2」から拝借したアイデアです。

いや、そこまで言うなら、麗美が来栖を連れて階段を降りる時に、逆さ滑り落ち二丁拳銃乱射とかさせれば良かったのですが。

ともかく、ジョン・ウー映画の影響、あるいはオマージュまたはパロディは、私の映画のどこかで必ず顔を出します。
もし機会があるなら、私の他の作品を観てジョン・ウー映画の影響箇所を探し出してみてください!!

ああ、こんなこと書いてたら、次回作はもっともっとスローモーション使いたくなってきた!!!

それでは、また!映画で会いましょう!!!

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